ベースアップ評価料について (内科さんの場合) ***21日に届け出期限延長です***
ベア評価料、とっつきにくいですよね。
私なりに解釈できましたので纏めを載せさせて頂きます。
個別にご質問などございましたら、お問い合わせフォームからご質問ください。
可能な限り回答させて頂きます。
**注意点**
このベア評価料の規定はいつまで続くか解らないため、このベア評価料が算定できる期間についてのみ支給する手当である、という賃金規定を作って、しっかりと説明してから実施しましょう。
(1)ベア評価料の制度は、対象事業所に法人税や所得税における賃上税制の適用を受けさせることを前提とした施策のようです。
つまり、事業所にあっては保険点数獲得範囲内で給与額を増加することができ(給与増加に持ち出し無し)、かつ、所得拡大税制という税制優遇措置の適用を受けることができ、スタッフにあっても給与が増額となりますから事業主もスタッフもWinWinになる制度のようです。
(2)税制優遇措置はどの程度優遇されるのか?
所得税や法人税の計算においては、昨年と比べて給与額を増加させた場合、増加分の一定率の税額を控除する規定を設けています。一定率とは、昨対で給与総額(役員を除く。以下同じ。) 1.5%以上増加した場合・・・給与増加額の15%の税額控除
昨対で給与総額2.5%以上増加した場合・・・給与増加額の30%の税額控除2.5%以上増加で、かつ、教育訓練費用を昨対で10%以上増加すると・・・給与増加額の40%の税額控除となります。
そして、この給与増加額、ベア評価料で賄われますから、単純に考えればベア評価料を原資として増加させた給与について最大で3割(教育訓練費の増加を含めると4割)の税金のバックを受けることができるのです。
(3)そうすると、今回のベアアップをどうやって考えましょうか?
とある会計期間が6月1日~5月31日の医療法人の場合では
- 当期 令和6年6月1日~令和7年5月31日までの給与総額 X(エックス)万円
これと、
- 前期 令和5年6月1日~令和6年5月31日までの給与総額 1000万円
税制優遇措置適用のためには、この(①-②)/②が最低でも1.5%となる必要があるわけです。
仮に、この医療法人の各月のベア評価料が36,000円であった場合、年額の賃金増加額は432,000円で、増加率としては1000万円で割り返した4.3%となることが想定されます。
従いまして、無事、賃金上昇率は2.5%<4.3%となり、所得拡大税制の30%の適用は受けられそうです。このように、賃上げの比率などは、所得拡大税制を意識しながら考えなければ損をしてしまう可能性があります。
(4)最後に、以上の検討から対象者の範囲をどう考えるかですが、対象者は、医療従事者やこれの補助をする者が対象となるようで大変広くとることも、狭くとることも可能です。ですから、こちらの都合で考えてよいと考えます
特定の人たちだけ大きく賃上げするよりも、広く薄く賃上げをしたいのであれば、対象者を多く設定したほうが良いです。
いずれにしろ上記の例でいえば、月のベアⅠ料の想定が36,000円であるため,対象者にそれぞれ数千円ずつ配賦して、これが2.5%前年給与月額のとなっていればよいわけです。
一方でベア評価料の想定が少ないクリニックにあっては、配賦するベア評価料が少ないですから、対象者を多くしてしまうと配賦額が2.5% 以下となってしまいますから、対象者が少ないほうが良いということになります。
以上、ご参考となれば幸いです。