
歯科の経営指標について
こんにちは。竹中です。
今回は、歯科さんの経営指標についてお伝えしたいと思います。
弊所で毎月お伝えしている指標は以下の指標であり、それぞれどのようなことを考えているか、先生方にはどのような事にお気づき頂きたいかを書きたいと思います。
(1) 自由診療割合
こちらは、気にする方が多いため割合を示しています。
私としては、あまり気にしていないのですが、昨年と比べて割合が大きく異なるような場合には、それが単なる入金のタイミングの問題であるのか、患者さんの治療の周期の問題であるのか、それとも経営上の問題が隠れていないか考えていただいております(人がいなくてコンサルできず、原価率の低い自由診療が取れないなどは死活問題です)。
また、矯正は別勘定にしておりまして、自由診療割合算出のための自由診療勘定の中には矯正売り上げは入れないこととしています。
(2) 矯正売上
矯正売上が大きくても、多くの場合矯正フィーも支払うため、利益額は大きくありません。また、矯正のための矯正医によるユニット利用が、院長のユニット利用を大きく制限してしまっている場合には、返って利益を圧迫している場合がありますので、矯正売上は重要な経営指標となります。
(3) 原価率(材料率、技工率)
材料費は、パラの高騰や、コロナ後のエプロン、フェイスガードなどの購入により上がる傾向が続いており、皆さん6%~10%程度でしょうか。SPT2など材料原価のかからない治療が多いクリニック4%~5%だったりします。また、ホワイトニングに強い先生は低いし、セレックを使いこなしている先生などは若干高い傾向だったりします。
見る点は色々あるのですが、特にインプラント専門医の先生については、材料率が高い場合、自費売価が低いのではないか、という確認をさせていただいております。
技工料率は、6%~9%程度でしょうか。やはりSPT2を回せている先生は低く、新卒の先生を雇った医院などでやり直しが多く高くなる傾向があります。最近ですが、低侵襲の治療が得意な先生は技工料が極端に安い傾向となることを発見しました。
なお、セレックを使いこなせた先生は技工料率が4%台に減少していて、びっくりしています。
(4) 人件費率(下記はいずれも厚生年金、社保や国保加入しています)
インプラント専門医で院長のみが売上を上げているクリニックは、オペの立ち合いが助手であったり、人件費率が低い傾向です。このような医院は売上1億円程度で(役員分を除いて)人件費率が20%程度で推移しているようです。
次に人件費率が低いのが一般歯科でしょうか。衛生士さんの給与をどれだけ下げるかがポイントのようです。25%程度でしょうか。
SPT2を回せている先生は人件費率が高い傾向で、25%を超えています。衛生士さんのインセンティブが高いので同じ一般歯科でも2%程度高い印象です。しかし、材料費が安いので利益的には影響がなさそうです。むしろ率は減っても額が増えているため増益している場合が多いです。
(5) 家賃比率
これは私の独特の指標かもしれませんが、6%を基準として、強いクリニックはこの数値が低く、資金繰りが苦しいクリニックは8%程度と率が高い傾向です。
忙しいのにこの数値が高い,というような場合、ユニットを増設できる面積があるのに人不足等の問題から増設していないことが考えられます。
堅実に、という先生のお気持ちはわかるのですが、よほど変なご診療をしていない限りユニットを増設すれば売上は上がる傾向が強いので、人が居ようが居まいが出来るだけ早く増設してしまったほうが良いと考えます。
増設することで売上利益率も上昇している傾向が伺えます。
(6) 減価償却額
減価償却は設備購入により計上額が上がります。つまり、何も設備投資しなければ額は毎年下がります。このようなクリニックは売上が停滞ないし減少していく傾向が伺えます。やはり。成長し続けるためには適度の設備投資が必要なのだと思います。裏から考えれば、集患を考え時流を考え得る先生は、何某か機械などご購入されるので、常に一定の減価償却費があり、売上は右肩上がりの傾向が伺えます。
以上です。みなさんのクリニックは如何でしょうか?
ご参考になれば幸いです。また、弊所では毎月これらの指標を用いてお話をさせていただいております。上記のようなお話を毎月されたい先生がいらっしゃいましたら、是非、会計事務所として弊所をご利用いただけますと幸いです。