たけなか事務所 | 税務・法務

税理士的財産保全

相続時精算課税と遺留分の放棄による【税理士的財産保全】

釣りが趣味なのですが、独立後、全く釣りに行けていない「竹中」です。

独立前は、うまくいけば毎週行けるようになる、なんて甘いことを考えていましたが、

現在は破産の案件を受けることとなり、釣りはおろかそもそもの土日休みもなくなってしまいました(泣)。

さて、今回は税理士らしく相続時精算課税と遺留分の放棄、これによる確実な財産移転について考えてみたいと思います。

まず、相続時精算課税という制度ですが、この制度は、ざっくり、贈与を受けて支払った税金のすべてを相続の際に清算し、相続税として計算し直す制度です。

特徴としては、、、

①相続税評価額で2500万円までの贈与は、税金がかからないこと(地方都市に所在する100㎡程度の土地建物は2500万円以下になろうと考えます。)

②贈与により取得した財産は相続により取得したものとみなされますが、その相続財産としての価格は贈与時点での価格となります。

この制度のメリットとしては、、、

①今後相続が発生した場合に、分割に不向きな財産があり、しかも相続人間で争いが生じうる場合には、相続前に権利を移転させることができ争いの芽を摘むことができますし、

②分割に争いがない場合でも、今後において価格の高騰が予想されるような財産は、現在の(値上がり前の)価格で移転できるということが挙げられます。

もう一方の遺留分という制度は、相続人(財産を貰う人)に最低限の財産を保障する制度で、例えば被相続人(亡くなった人)に子A、子Bがいて、遺言書には「子Aにすべての財産を遺贈する」という趣旨の遺言書があった場合に、子Bは、相続分の半分(1/2 × 1/2 = 1/4)までは保障されることになります。

ここで問題なのは、上記、相続時精算課税で上げた①の財産移転というメリットは、そのまま無策でいると、遺留分により蒸し返されることになりかねません。先の例でいえば、被相続人の財産が土地建物だけであった場合に、精算課税を使って子Aにすべてを贈与したとしても、子Bから1/4は渡せ(遺留分減殺請求といいます)といわれてしまい、子Aはその請求に応じるため、せっかく精算課税制度により取得した土地建物を売却して支払わなければならなくなるかもしれません。

そこで、次の手としては遺留分の放棄を検討するわけです。

相続の放棄ではなくて遺留分の放棄です。遺留分の放棄は、原則撤回などはできず、相続前にもすることができるため、他の相続人による蒸し返しを防止し、遺したい人に、遺したい土地建物などをほぼ確実に移転させることができます。

もちろん、相続後においても相続人間で争いが想定できないような場合にはこのような制度の利用は考えませんが、例えば絶大な権力を持った家長が亡くなるようなケースではその後に争いが生じる可能性が多々あり、このような場合、家長の生前に精算課税+遺留分放棄は有用な制度になります。

なお、遺したい財産が金銭である場合には、こんな回りくどいことはせず、一般に、生命保険を利用した財産移転が選択されます。

お悩みの場合には、ご相談ください。