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個人診療所

個人診療所の院長が行うDD費用は経費?

今日は学会に参加してきました。テーマは「デューデリジェンス費用(DD費用)の税務上の取扱い」でした。

法人税法の下では、DD費用を費用とするのか、それとも資産とするのかという線引きが昔から議論されています。

たとえば、まだ相手先が決まっていない段階での調査費用は損金として扱われやすい一方で、対象が具体的に特定され、取得に向けた調査に入れば、取得費に算入すべきだという整理が一般的です。

ここまでは教科書的な話です。

個人的に気づいた問題点

ところが今回の議論を聞きながら、ふと気づいたことがありました。

それは、個人事業主の場合、このDD費用はまったく保護されない可能性があるという点です。

法人であれば「費用計上 vs 資産計上」の二択で済みます。

つまり、極端な話をすれば時間の問題なわけです。

しかし個人事業主、とくに歯科診療所の先生のように「個人で診療所を営んでいる方」が別の診療所を買収しようと考えると、税務上は「医療法人ないし一般社団法人でなければそもそも2つの事業を営めない」ため、事業経費と認められない可能性が極めて高いのです。

つまり、

法人:失敗したDD費用も「経費 or 資産」どちらかで整理可能

個人:失敗したDD費用は「ただの支出」。事業の利益と相殺することもできず、税務上は存在しなかったことになる

この差は想像以上に大きいです。

「法人でやっていれば税金計算上救済されたのに、個人で動いてしまったために全額が無駄になり、節税にもならなかった」という事態が、現実には十分起こり得るのです。

まとめ

学会での議論は法人税法上の線引きが中心でした。

しかし今日の気づきは、所得税法ではDD費用は何ら考慮されない可能性があるという根本的な問題でした。


これは法人と個人の扱いのギャップの一例ですが、医療・歯科業界におけるM&Aを考えるときには特に意識しておく必要があると痛感しました。

 

法人化しておられればよいですが、儲かっておられる先生で個人のままの先生方は、こういった費用の受け皿となる一般社団法人を持っていたほうが良いのかもしれませんよね。

医療法人は設立に時間がかかりますし、株式会社はそもそも医療業を営めないのでDD費用は経費になりませんから。