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電子マネーの事例

医療法人・MS法人間での電子マネーの事例を考えてみました!

所属している租税法務学会(租税法務学会 (sozeihoumu.org))での勉強会がありました。
素材は、同族会社間の電子マネーの売買に関する事実認定が問題となった事例でした。
(裁決事例集№128 令和4年8月4日裁決)

素材の会社はIT系の何でも屋さんのようでしたが、医科歯科で考えるならば、医療法人とMS法人というところでしょうか。

以下、医療法人、MS法人として考えてみたいと思います。

簡単に事例を説明しますと、

(1)医療法人の資金で電子マネーを一括して購入する。
(2)当該一括購入した電マネーをMS法人や理事個人などで使う。
(3)医療法人から請求書を立てて、MS法人から適当な金額を医療法人に対して支払うという資金の流れです。(公表された情報では金額がいくらまでかは解りませんでした。)


医療法人は、MS法人から受け取った電子マネーの代金を売上として計上し、当該電子マネーの購入額は売上原価として処理していました。

その後、税務調査が入り、一部の電子マネーについてはその管理や運用の状況から、医療法人とMS法人間で売買の事実が認められないとして課税されてしまったという事例です。

課税のポイントは、医療法人とMS法人との間に売買の契約が成立していたのかどうかでした。

この点について審判所は、
①購入した電子マネーについて、MS法人側で利用可能な状態とするようにMS法人側でIDやPASSなどを管理していたかどうかという事実
②また、MS法人が購入したとする電子マネーの実際の使途という事実
これら二つの事実を重視し、一部の電子マネーについては、MS法人側でIDなどの管理がなされておらずその使途も証明されていないとして当該一部の電子マネーの医療法人における売上原価の計上を認めませんでした。

つまり、本来、医療法人とMS間でしっかりと請求書のやり取りをしておけば、売却後の資金の使途などは購入側の問題なのですが、電子マネーのような支払手段の売買については、売買があったかどうかはっきりしない場合には、こういった間接的な事情も売買の有無の判定の際に考慮されるようです。

“MS法人側で何をやってもらうのか”これは常に理事長と我々の悩みの種になるわけですが、なるほど、電子マネーの発行・管理も医療法人とMS法人との取引にも使えるのかなと感じましたので紹介させていただきました。

お読みくださり有難うございました。

先生方の何某かのお役に立てれば幸いです。